2026/03/08
こんにちは。京都市中京区御所南の「鍼灸スノルノ」の院長 成岡玉江です。
私たちは1日に約2万回、息をしています。でも「ちゃんと呼吸できていますか?」と聞かれたら、自信を持って答えられる人は少ないかもしれません。
今日は、呼吸のことをもう少しだけ丁寧に見てみましょう。
腹式呼吸と胸式呼吸、何が違うの?
呼吸には大きく2種類あります。
腹式呼吸は、横隔膜を上下に動かしてお腹が膨らむ呼吸です。肺の下の方までしっかり空気が入るため、一回の呼吸で多くの酸素を取り込めます。リラックスしているときや眠っているときに自然と出やすい呼吸です。
胸式呼吸は、肋骨を広げて胸が膨らむ呼吸です。素早く酸素を補給できますが、呼吸が浅くなりがちです。緊張しているときやストレスがかかっているときに出やすい呼吸です。
呼吸には「目的」がある
実は呼吸の仕方は、体の状態や目的によって自然と変わります。
たとえばピラティスでは、体幹(コア)を安定させたまま動くために、肋骨を横に広げる胸式寄りの呼吸を使います。お腹をしっかり締めておきたいからこそ、あえて腹を膨らませない呼吸を選んでいるのです。
一方、自律神経を整えてリラックスしたいときには、副交感神経を刺激する腹式呼吸が有効です。
どちらが正しいのではなく、目的に応じて呼吸を使い分けることが大切です。
これは鍼灸の考え方にも通じています。体のどこにアプローチするか、どんな状態に導きたいかによって施術が変わるように、呼吸もまた意図を持って使うものなのです。
呼吸と自律神経の深い関係
交感神経は「アクセル」のような神経で、活動・緊張・興奮のときに優位になります。胸式呼吸が続くと交感神経が刺激され、体は常に「戦闘モード」になりやすくなります。
副交感神経は「ブレーキ」のような神経で、休息・回復・リラックスのときに優位になります。腹式呼吸はこの副交感神経を刺激し、体を「休息モード」へと導いてくれます。
自律神経は意識的にコントロールするのが難しい神経ですが、呼吸だけは自分の意志で変えられる唯一の入口です。
「呼吸を整えることが体を整えること」と言われる理由はここにあります。
呼吸を変えると、体はどう変わる?
深い腹式呼吸を意識することで、体にはさまざまな変化が起こります。
・ 血流が良くなる 横隔膜の動きがポンプの役割を果たし、全身の血液循環を助けます。
・ こりや痛みが和らぐ 筋肉の緊張がほぐれ、肩こりや腰痛の改善につながることがあります。
・ 気持ちが落ち着く 副交感神経が優位になり、不安感やイライラが鎮まりやすくなります。
・ 睡眠の質が上がる リラックスモードで眠りに入りやすくなります。
・ 内臓の働きが整う 横隔膜の上下運動が内臓をやさしくマッサージし、消化機能のサポートにも。
呼吸が浅いことのデメリット
浅い呼吸が習慣になると、体にはじわじわとデメリットが積み重なっていきます。
・ 酸素が全身に届きにくくなり、疲れやすくなる・頭がぼーっとする
・ 交感神経が優位な状態が続き、眠れない・緊張が取れない
・ 体幹・インナーマッスルが使われず、姿勢が崩れやすくなる
・ 自律神経のバランスが乱れ、消化不良・便秘・冷えなどを招く
呼吸が浅くなっている人の特徴
次のような特徴に心当たりはありませんか?
・ 気づくと口呼吸になっている ・ 長時間デスクワークをしていることが多い
・ 猫背・巻き肩の姿勢になりやすい
・ なんとなく疲れが抜けない
・ 深呼吸しようとするとうまく吸えない
・苦しい感じがある
・ よくため息をついている
実は「ため息」は、体が無意識に浅い呼吸をリセットしようとしているサインとも言われています。
おわりに
呼吸は毎日2万回繰り返している、体への一番身近なアプローチです。鍼灸の施術でも、呼吸を整えることは自律神経を整えるうえでとても大切にしています。
まずは今日から、1日数回だけ「鼻からゆっくり吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくり吐く」腹式呼吸を意識してみてください。それだけで、体の感覚が少しずつ変わってくるはずです。 本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
